パークカフェ 開店(4)

さて11時になり、第3部 手品のコーナーの始まりです。
お花のお届けという飛び入りがあり、面白くもない漫談がカバーできました。
これからが本日のクライマックスの手品です。演目自体は、10演目を用意していますが、どれもこれも威張れるものは、何一つありません。つたないしゃべりでごまかし誤魔化しです。
手始めは、つかみネタです。
ステンレスのスプーンがあっという間に曲がるというものでしたが、しこみ忘れており、急きょプラスティックのスプーンを用意し、柄の部分に輪ゴムが、何重にもまきつくというものに変更しました。まず、なにもしてないスプーンを見てもらいます。
タネも仕掛けもないのをよくチェックしてもらいます。
お客さんに実際にさわってもらい変なものではないことを確認してもらいます。
ひとりのお客さんがスプーンを手にとり、絶対にタネを見破ってあるぞと、するどい眼で睨んでいます。
このお客さんは、あとでやるロープ手品のときに、大失態をみせてしまうことになるお客さんなのですが、まだこのときは丁寧なお客さんとしか思っていませんでした。
「もう吟味は、そのくらいでいいですか?」と声かけながら、スプーンをもぎとりました。
これを持ってきた箱の中に入れます。その箱の中に、おまじないの呪文を降りかけたのち、あらかじめ輪ゴムを巻きつけたスプーンを取り出し、お客さんの前にさもおまじないで輪ゴムが巻きついたように見せます。
どよめく会場、割れんばかりの拍手を予想していましたが、「エーツ」という猜疑心の声しか聞こえません。
「はじめから、その箱の中に、入っていたんとちゃううん?」「アホなこといいな。そない疑われたら困りますなあ。」と言い返していたところに、一人のお客さんが、「ア、色が違うと言い出したのです。」どうも初めに見てもらったスプーンと輪ゴムの巻きついたスプーンの色が違うというのです。こちらは、赤緑色弱で色に関しては、まったく自信がありません。
しかたなしに、箱のなかにある、はじめに見てもらったスプーンを取り出す羽目になりました。
ようく色を見比べると確かに、微妙に違うようです。片ほうは、若干ピンクかかっています。
勝ち誇ったよな笑い声が、どよめきます。
当初の予定とは違うが、なにはともあれ喜んでくれているようで良かったと、変な安堵感が湧いてきました。
手品を、1演目ごとに解説しながら書くと時間がかかってしゃあないので、次号からは、おもだったものだけに致したいと思います。